ニーガルは手で顔を覆い、俯く。

「私は今まで何を……何の為にここまできたんだ?」

生気の感じられない弟子の姿に、オスカーの瞳がわずかに揺れた。

「お前はよくやった。俺様の元を離れた後も錬磨絶やさず、ここまで上り詰めたじゃねぇか。」


ガタガタと震えているニーガルの拳を優しくふりほどき、オスカーはニーガルの剣を地面に置いた。

「何も世界なんて背負い込むことは無かったんだ。だから……今からでもまた俺様と来い。」

母親になだめられた子供の様な綺麗な瞳。

ニーガルは悲しげに笑うのだった。