際限なく放たれていたアストンのフォースが全て右手一点に集まっていく。

その凄まじさにネオですら無意識の内に半歩退いてしまったほどだ。

「バカめ。それだけ膨大なフォースを扱う術、ならば詠唱に時間がかかるのは明白。」

確かに、これだけのフォースを絞りだして扱う様な術であれば、先程までの術よりも遥かに長い詠唱が必要だと誰もがそう思っていた。

しかし、アストンが今から行うことが呪術だと思っている時点で間違っていた。

「消え失せろ『ドライブ・オーバー《終焉の光》』」

アストンの右腕から目が潰れそうになるほど強力な光が放たれた。

「なんだと!?これほどまでの術を無詠唱で使うなど……あり、え、な……い……」

光はニーヴァスを呑み込み。

更には研究装置、孔気拡散障壁までもを巻き込み大爆発を起こした。



「げほっ、ごほっ。みんな無事か?」

土埃の中ジンが叫んだ。

「わたしは大丈夫よ。」

「オレも大丈夫だ。しかし……なんて術だよ。」

わずかに晴れた視界に映ったのは、アストンの前方にあったはずの物全てが完全に消滅しているという信じられない光景だった。

破壊されたのではなく、完全に世界から消滅してしまっていた。

「あ、アストン!?」


地面に倒れていたアストンを見つけるなりマールはアストンに駈け寄り治癒を施す。

しかし、アストンの目が覚める様子はない。

「おい、施設が壊れるかもしれない。そこの穴から早いとこ脱出しよう。」

カムイがアストンを抱え上げる。

四人が外へと抜け出すと施設が巨大な爆発を起こして、崩れた。