ケルセウムには国家連合認定の学術施設『アブソリュート人材育成機関』と言うものがある。

世界各地から優秀な人材を掻き集め、最高のカリキュラムに最新の機材、優秀な講師陣による指導を受けることが出る。

アブソリュートに入るためには、ずば抜けた知能と戦闘技術が必要で年に五回行われる入校試験では何万という応募の中、受かるのは一つの試験につき数人に満たない狭き門である。

それほどの難関なだけあって、入校できた生徒は各国のビップクラスにも劣らない待遇が確約されているはずだった。


しかし、そんな中たった一人だけ待遇すら受けられず周囲から敬遠されている少年がいた。


「……………と言うわけで大陸や核下、海中には未だ見ぬ資源があるとされていますが、青く澄み切る空には何もない。それゆえに空に希望を抱く意味がないということに繋がるわけであります。
が、どうやらこのクラスには空を見上げて地に足のついていない生徒もいるようですね。くれぐれもそんな半軍思想に感化されることのないように。では以上です」

教師の言葉にクラスの全員が声をあげて笑った。

しかし笑われている当人はさほど気にしていないようだ。

「勝手に言ってれば良いさ。空を目指すことを恐れ翼を無くした屑どもめ」

そう静かに呟いた少年は真っすぐに、自らの瞳と同じ色に澄んだ青い空を見上げていた。