「歴学都市……ヒステニアですか?」

聞き慣れない都市にカムイは首を傾げた。

「ヒステニアは核下地区にある街でな。世界最大の図書館を有する街だ。……というか街全体が図書館になっているんだがな。」

「街全体が図書館?なんか想像できないな……」

カムイの脳裏にはアブソリュートの施設内にある小さな図書館しか浮かんでこなかった。

「行ってみたら分かるさ。あそこなら古文書だろうと歴史の本だろうと何でも揃っている。普通なら閲覧禁止の本もB.A.S.E.の人間かか修道女と一緒ならば閲覧も可能だろう。」

クロノがそう言うとマールは自慢げに顔を覗かせた。

「じゃあ私がいるから大丈夫だよねー。なんてったってセイクリッド・モースの修道女なんだから。」

マールの言葉にクロノは期待どおりの反応をしめし、目を見開いた。

「なるほど……これであの治癒術にも納得がいく。なるほど……うーむ。」

それからしばらくクロノはマールを見つめながらうなっていた。

「ああ、それからカムイ。右目は緑柱眼だね?それはあまり発動してはいけないよ。理由は言わなくても使用者である君なら分かるだろう?」

クロノはその時初めてきつい目付きを見せた。

それだけ緑柱眼は危険なモノらしい。

「はい。片目だと何かと不便ですけど……最近慣れてきましたから注意します。クロノいろいろありがとうございました。」

「ああ、君らの願いが成就することを願っているよ。」