すると、近くから男の子っぽい声がした。


「まさか・・・」

サラは声のするほうを向いた。

そこには、そう。


マサがいた。

マサは目の前にいるナズルの種族の美しい少女に驚きを隠せなかった。




「あなた…だれ?」

「俺はマサ。お前は?」


マサが言うと、サラは少しうつむき加減に答えた。

「分からない。自分がなんなのか。どこからきたのか」


そういうとサラは顔に両手をあてた。

「記憶・・・ないのか?」

サラは黙って頷いた。



マサはまわりを見渡して、人が誰もいないのを確認すると、サラのとなりに腰を下ろした。


自分の運命について何もしらない、無力で、純粋なこの少女を放っておけなかったからである。

「名前・・・わからないなら、自分でつければ?」

マサが言うと、サラは少し考えた。


「…思いつかない。マサ、つけて?」


マサは噴出した。

「お前っ  自分の名前くらい自分でつけろよ!!」

サラはマサにつられて笑った。

マサはそのサラの笑い顔を見て思った。


(同じ人間なのに…)