「…で、・・・・・・・だから、この自然の流れは…」


前で講師が説明している。

マサは素早くそれをノートにとり、その先の問題をさらさらと解いた。
そして、となりに座っているカバスカの方を向くと、案の定カバスカはいびきをかいて寝ていた。

マサは呆れてため息をつき、カバスカの髪の毛を一本抜いた。

「って!!!」

その瞬間カバスカは飛び起き、頭を掻いた。

「てめぇ何しやがる!」

「お前が寝ていたから起こしてやっただけだ」

「いちいち髪の毛抜かれたら俺ハゲる!!!」

「じゃあ寝んな」

「~~…」

カバスカはマサに反論する内容が無くなり、仕方なく鉛筆を握った。

「はい、終わりです。」


「あ、終わっちゃったじゃん!俺今日の分聞いてないし!」

「寝てたんだから仕方ないだろ」

「たのむよ!!ノート、写さして!」

「わかったからそのキモイ髪を直して来い!!俺はいつものトコに行ってる」

「ひゃ~い」



マサはそう言うとノートをカバスカに放って歩き出した。


大聖堂を出ると、まっすぐ大通りを歩く。


しばらく、低い、レンガつくりの家が並ぶ通りを歩くとマサはいきなり家と家の間の細い道に入った。

真昼なのに暗い道をマサはどんどん歩く。



すると、前方に光が見えてきた。

近付くと、そこには広大な森が広がっていた。


「…着いた」

その森は、カナルの町とナズルの町を繋ぐ、カナルの大人でも知らない森だった。

マサとカバスカはいつもここで未来についてぼーっと考えるのであった。



マサが背のたかい草を掻き分けて進むと、いつもマサが座っている切り株に一人の少女が座っていた。

その姿を見て、マサは目を見開いた。