石造りの頑丈そうな家の窓から、一人の少年が顔を出していた。
少年は、周りをキョロキョロと見ると、大声で叫んだ。
「マサ~~!!」
すると、その少年はいきなり窓から吹っ飛んだ。
「煩い」
少年が吹っ飛んだ窓からは、もう一人、少年が顔をのぞかせていた。
その少年はなかなか整った顔立ちをしていて、青い瞳に、黒い髪がよく似合っていた。
そう、この少年はカナル。
ナズルと同じく透き通った青い瞳と、ペンで塗ったような黒髪が特徴的だ。
「いったいなぁも~~~」
「お前が煩いから悪いんだろ」
そして、吹っ飛んだ少年は寝癖があちこちたっていて、サラサラとなびくマサと呼ばれた少年の美しい黒髪とは多少ちがうが、まぁ、真っ黒な髪を持っていた。
この二人は今年で15歳。
もうすぐ殺人鬼と化す、哀れな少年たちである。
「カバ、早くしたくしろ。今日は町の勉学会だろうが」
「俺はカバじゃないっ!!カバスカというお母様からもらったすばらしき・・・・ってちょっと!待ってよっ」
マサはカバスカの言葉を無視してスタスタと歩きだした。
「たらたら言ってる場合あったらさっさと支度しやがれ」
「はいはい・・・」
カバスカは三秒後に窓から飛び出してきた。
そして、マサとカバスカは町の中心部にある、町の大聖堂に向かった。
「いつも思うけど・・・大聖堂ってでかい・・」
カバスカはぽかん、と大聖堂を見ている。
「マヌケ面してねぇで行くぞ」
そんなカバスカを横目にマサは歩き出した。
「待ってマサっ」