その手に触れたくて


座ってすぐに思った。

暗すぎて落ち着けない…


あたしはもう一度、立ち上がりカーテンを開けて外を見た。

まだ降り続く雨。夕立だからすぐに止みそうなんだけど、見た感じからするとまだまだ止みそうにない。


「こんなんしかねぇけど」


そう言ってきた隼人に目を向けると、手に2つの缶を持って近づいてきた。


「はい」

「あ、ありがと」


隼人からカフェオレを受け取り、どうしていいのか分からないあたしは外を見続ける。

帰りたい気持ち半分。でも居たい気持ちも半分。


もう分かんない。


けど、まだ隼人の事が好きなんだって事は確かに分かる。



「あっ、いいのんあんぞ」


そう言ってきた隼人は、雑誌が積み重なっている山から一冊の雑誌を取り出した。

差し出された雑誌を受け取ると、何故か女が見るファッション雑誌で――…


「これって――…」

「夏美のやつ」


彼女の?って聞こうとした瞬間、隼人の声に遮られた。

でも、良かった。って思った。