その手に触れたくて


仕方なくあたしは隼人に着いて行き玄関で立ち止まった。


「はいよ」


頭に掛けられた一枚のタオルに手を伸ばす。


「ありがと」

「2階の一番奥が俺の部屋だから、先行ってて」

「えっ、う、うん」


隼人から渡されたあたしの鞄を受け取り、リビングに入っていく隼人を見てからあたしは2階へと向かった。

階段を上げるたびに足が震える。って言うよりもドキドキする。


隼人が近くにいる喜びって言うのか分かんないけど、心臓がドキドキする。


「ここかな…」


階段を登り切り、一番奥の扉まで来てゆっくりとあたしは扉を開けた。


「わっ、」


開けた途端あたしの口から思わず声が漏れた。

黒一色で統一される部屋。と、言うよりもあまり物がない。


黒のベットシーツが掛けられているベットとテレビ、後テーブルしかない。

それにカーテンもが黒だから部屋の中が暗い。


とりあえずあたしは床に腰を下ろし、うしろのベットに背を付けた。