コンビニの中に入ってペットボトルのレモンティーを取り出し、レジでお金を払ってから外に出た時、思わぬ人物に少しだけ後ずさりしそうになった。
原付に股がってあたしが見たこともない人達と話している隼人が目の前にいる。
どうしょう…
そんな言葉が一瞬にして頭の中を駆け巡った。
思わずジッと見ていると、隼人と話していた人達はその場から姿を消し、ポツンと残った隼人にハッと意識が戻り、あたしは気づかれないように身を潜めて自転車の方へ歩いた。が、
「…おい」
歩いてすぐ低い声が近くから飛び、その声はどう考えても隼人だと分かり、あたしは気づかない振りをして自転車の籠に鞄を突っ込んだ。
「無視かよ」
だんだん近づいている声とともに足音までもが近付いて来る。
なんで、なんでこんな所にいるのよ。一番会いたくない人に出会ってしまった。じゃ、なくて一番会いたい人に会ってしまったの方が正しいのかもしんない。
だけど、話す言葉もなくて、
「お前、最近俺のこと無視しすぎじゃね」
そう言われて隼人の顔が目の前に現われ、あたしの身体は一瞬にして飛びはね、思わず視線を逸らした。



