その手に触れたくて


「今日はやめとく…」

「だよね。なんか天気おかしいし…今にも降りそう」


夏美はそう言って、窓際まで行き窓から顔を出して空を眺める。

その夏美に着いて行くかのようにあたしも鞄を肩に掛けて夏美と同じように空を見上げた。


分厚い分厚いグレーの雲が空一面に広がっていて、どんよりと暗くなっている。


「降らないうちに帰ろっか」

「うん…」


夏美はずり下がっていた鞄をしっかり肩に掛け教室を出て行き、あたしも小走りで夏美を追い掛けた。


「もうすぐ夏休みだね」

「だね」

「美月は何か予定作ってる?」

「何もー毎日暇人だよ」

「あたしもー、」


自転車を押し夏美と笑いながら言葉を交わし、校門まで着くとあたしは夏美と別れ、学校から近くのコンビニまで足を運ばせた。