夏美と話している時、夏美の口からは隼人の名前は一度も出てこなかった。

それはきっとあたしに気遣ってたんだと思う。


だって、直司とか颯ちゃん、あっちゃんの名前は出てたもん…



あたしの気になる人には彼女がいた。

それも先輩。


彼女がいたなら、どうしょうもない。ただただ影から想いを寄せてるだけで…

でも、それじゃあまりにも苦しすぎるから必死で忘れようとしてんのに、あたしの目はいつも隼人を追っていて、いつも隼人の声を探してた。


数日間経っても、相変わらずあたしは夏美の教室には行かなかったけど、廊下ですれ違う隼人を見ると、どうしょうもない感情があたしの頭の中を支配していた。

おはようって何気なく言ってくれる隼人。その言われる言葉が凄く嬉しいんだけど無償に苦しくなってくる。


颯ちゃんちにだって今までずっと行ってなかった。だってそれは隼人に会うから…

でも、そう言う避けたい事は嫌味のように避けられなくて、学校帰りばったり、颯ちゃん達と出会った時は、夏美と何回か着いて行った。


そこに数回、隼人もいた…