「好きだから苦しくて目で追ってんじゃないの?」
「意味分かんない…」
「隼人に彼女が居るからでしょ?」
「―――…ッ」
彼女…
思ってもみない突然の言葉に思わずあたしは言葉を失った。
夏美に言われてズキン…と胸が痛む。
そっか、そっか…隼人、彼女いるんだった。だから、今まであたしの胸はこんなにも苦しかったの?
だから余計に意識して目がいってたの?
いつの間にか自分でも分からないくらいにまで隼人を好きになってたんだ…
「隼人、女いるもんねぇ…。隼人に近づくだけで文句タラタラだからなぁ…。なんならさ、奪っちゃいなよ」
夏美はうっすら笑った後、あたしの顔を見てスッと笑みを消し、
「…冗談です」
何も言っていないかのように素早く言葉を掻き消した。



