ふと視線を夏美から後ろ側へと向けると、隼人が目に入った。
隼人はタバコを咥えたまま誰かと電話をしている。
店内から漏れてくる明かりだけの所為で隼人の表情までもは読み取れない。
でも、何か深刻そうだった。
ついそんな隼人を見つめていると、さっき夏美が言っていた言葉が頭に引っ掛かった。
“隼人は…止めたほうがいいよね”
確かに夏美はそう言った。
曇らした表情でそう言った。
どー言う意味だろ…
別に隼人に送ってもらいたい訳じゃない。ただ、その言葉が気になった。
「おーい、美月ちゃん?」
不意に聞こえてきた直司の声にハッと我に返り、あたしは目線を直司に向ける。
「どうした?」
「あっ、ごめん」
あたしは声を少し張り上げて、直司の後ろに跨った。



