その手に触れたくて


「そう条件」

「条件ってお兄ちゃんにでしょ?」

「え?響さん?」

「うん。…じゃないの?」

「違うよ。響さん関係ないじゃん」

「え、何?」

「隼人さ、」


隼人の名前を出した夏美は何故か言いにくそうに言葉を止め、顔を顰める。

時たま目を泳がせる夏美に、


「どうしたの?」


あたしは夏美を身構えた。


「うん…。隼人があの場所に居たのって、…美月が関係してるんだって」

「…え?」


声を失ってしまった。

今、夏美は何て言ったの?


「だから…美月が――…」

「ごめん、夏美の言ってる事分かんない」



夏美の言葉を遮ったあたしは顔を顰めながら夏美を見つめる。

そんな夏美は少し深呼吸をした。


「だから美月が――…」

「それってあたしの所為なの?」


また夏美の言葉を遮ったあたしは少しづつ視線を落としながらそう問い掛ける。