その手に触れたくて


「単位ねぇしな」

「もう辞めた?」

「まだ」

「補習行ったら何とかなるんじゃないの?」

「つか、もう結構ねぇよ。補習でクリアするような事じゃねーし」


そしたらもう会えない様な気がした。

付き合ってもないなら…

隼人が学校を辞めちゃうんなら…


もう、このまま会えない様な気がした。


隼人を想う気持ちがあまりにも大きすぎた。

大きくて、大きくて、手に抱えきれないほどの想う気持ちが、あたしを狂わせてた。


もう一度じゃダメ?

あたし、まだ好きなんだよ。

ほんと、しつこくてゴメン。


「美月?」

「何?」

「美月にはずっと悪いと思ってた。すげぇ困らせたし、すげぇ辛い思いさせたし、ホントに悪いと思ってる。…ごめんな」


立ち上がった隼人はポンと触れる様にあたしの頭に手を置き、クシャっと撫でる。

その行為に涙が出そうだった。