「あんま攻めんなよ」
そう言った直司に夏美はキツイ視線をスッと向けた。
「攻めるも何も隼人じゃん!!隼人が何もかも悪いんじゃん。それを何?何も言わずに見てろって事?あんたら何も分かってないけど美月の気持ちも考えなよ」
自分の名前が出た事にヅキン…と胸が痛んだ。
夏美が怒るのも無理はないけど、でも…だからと言って夏美と同じ気持ちになれない訳でもなかった。
「ちゃんと分かってっからこうしてここに来てんだろうが。深い事情があんだよ。だから隼人を攻めんなよ」
「深い事情って何よ…マジ意味分かんない」
夏美は髪をクシャっと掻き乱し一息吐く。
顔を顰める夏美に、「きっと…何か訳があるんだよ」冷静にも落ち着いた相沢さんの声があたしの耳をすり抜けた。
事情…
訳…
更に混乱するあたしの頭。
それはいったい何?
隼人はあたしに何を隠してた?



