あたしの前に座っている隼人までもが、タバコを咥えたまま夏美をチラッと一瞬だけ見て目を逸らした。
でも、あたしは分かってた。
隼人と直司だけじゃないって事を…。それは颯ちゃんとあっちゃんまでもが今まで開いてた口を閉じてた。
何…この空気。
どんよりとした空気が周りを漂い沈黙が流れる。
まるで、さっきまでの会話が嘘のように…。夏美の為に作ってたみたいに…
「美月ちゃん…」
暫く経って、どんよりとした空気を遮ったのは直司だった。
でも、さっきとは全然トーンの低い声だった。
「…な…に…?」
つい戸惑い気味になってしまったあたしに、直司はチラッとあたしを見て、新しいタバコに火を点け、ため息とともに煙を吐き出した。
「夏美と仲良くしてやって」
一瞬、意味が分からなかった。
「え…仲良く?」
「そう。これからも」
そう言われても、やっぱりあたしには意味が分からなかった。
これからもってどーゆー事だろ…
あたしはこれからも夏美と仲良くしていくつもりだけど…



