ガチャっといつもより大きな音が響いた玄関のドア。
その音に反応して振り返ったのは、お兄ちゃん…
その前にはついさっきまで一緒に居た夏美と相沢さんだった。
一瞬何なのか分かんなかった。
この光景があたしにはさっぱりと分かんなかった。
目線を送って来た夏美と相沢さんは困った顔と言うか悲しそうな表情。
でもお兄ちゃんの表情は相変わらず宜しくない。って言うか不機嫌。って言うよりも険悪顔。
「…何…してんの?」
そう声を出したのはあたしだった。
でも、だけど。
「悪いけど、夏美ちゃん達の用件は聞く事できねーから」
素っ気なく返したお兄ちゃんの眉間には深く皺が入り込んでいる。
なんか、嫌な予感。
あたしの事を気にしてんのか夏美と相沢さんは口を開く事無く困った表情を見せ、お兄ちゃんは何もなかったかのように、あたし達に背を向けた。



