その手に触れたくて


隼人が足を止めた場所はビルとビルの隙間。

ガラクタが散乱してあって、囲まれているビルは綺麗と言う言葉がかけ離れている古びたビル。


「何しに来た」


あたしの腕を離した瞬間、隼人は冷めきった目と言葉であたしを見下ろす。


「…隼人、学校辞めるってほんと?」


泣きそうな顔は出来るだけ見せたくない。

でも、今のあたしはそうにもいかないみたいだ。


震える唇。

震える声。

震える身体。


隼人のその冷めきった表情に目から熱い何かが込み上げてきそうだった。


「答えろよ。何しに来たって聞いてんだろ」

「…隼人に会いにだよ」

「勝手な事すんなよ。…帰れよ」

「嫌。隼人に、隼人に話す事いっぱいいっぱいあるの」

「俺はねぇよ」

「隼人がなくてもあたしがあるの。ねぇ、隼人…本当に学校辞めちゃうの?」

「お前には関係ねーだろ」

「何で?何でそんな風になったの?ねぇ、隼人?」

「もう帰れ」


冷たく突き放した隼人はあたしに背を向けて一歩足を進める。

その背中を引きとめたくて、


「あたし、隼人がちゃんと聞いてくれるまでずっと来るから。毎日ずっとここで待ってるから!!」


張り上げた声に隼人が一瞬だけ足を止めたけど、また何もなかったこの様に進んで行く背中が潤んだ瞳で見えなくなってた。