懐かしいその姿。
本当に、本当にここに居たんだと思った瞬間、胸が苦しくなってしまった。
隼人はまだあたしに気づいていない。
出てこようとした隼人は、あたしの前に居た男に何かを告げている。耳打ちで話しているから内容までは分かんない。
「後で行く。その前にこの女どーにかしたいから」
隼人が耳打ちで告げた後、男はあたしの方に振り返ってそう言葉を吐きだす。
そう、吐きだしてすぐだった。隼人の視線がゆっくりと男を避け、あたしの方に向けると一瞬にして隼人の目が見開いた。
その驚いた表情が一転し、グッと中央に眉が寄る。
「とりあえずアンタ来いよ」
そう言った男はグッとあたしの腕を掴んだ瞬間、
「どーするんすか?その女」
久し振りに聞く隼人の声があたしの頭上から落ちた。
「あぁ…適当に遊ぶだけ」
あたし…この人に遊ばれるんだ。もう、会いたい人は目の前に居るのにそれさえも言えなくて、あたしは少し唇を噛みしめた。
だけど仕方ない。あたしが勝手に来たんだから。分かっていながらも、ここに来たあたしが悪い。
「じゃあ、俺にそいつ下さいよ。なんか急用みたいっすよ?」
「あー…じゃあ、頼むわ。適当に遊んだらその子の用件聞いてやって」
「はい」
なんとも言えないような会話にあたしの息が詰まりそうになる。
目の前には隼人が居るのに何故か心は晴れなくて苦しい。
さっきまで居た男が気配を消すと、目の前に居た隼人はグッとあたしの腕を掴み素早く足を進ませる。
その勢いに必然的に着いて行く足を踏ん張り、縺れそうになりながらも足を進めた。



