その手に触れたくて


「昨日たまたま寄ったコンビニで隼人と何度かつるんでた奴ら見掛けてさ、会話聞こえたんだけど…隼人学校辞めるらしいよ」

「…え?」


一瞬、夏美の言葉がよく分かんなかった。

頭の中が真っ白になった。


「あたし知らなかったけど今、危ない所に居るんでしょ?それも聞こえたんだよ」

「……」

「美月、何も言わないから。で、相沢さんに聞いたらそうだって言うから」


夏美の口から深いため息が零れる。


「うん…ごめん。何か頭の中がいっぱいいっぱいで…」

「美月、隼人の事はもう忘れな」

「……」

「あたしでも知ってるよ、そこがどんな所かくらい」

「……」

「それに…もう辞めるみたいだし。随分来てないから、もう単位ないと思うよ」


そう、キッパリと言ってくる夏美に思わず目を閉じて俯いた。


単位がもうないって事はあたしにでも分かってた。だって、ホントにもう随分と来てないからそーなるのは当たり前だと思ってた。

でも、だからと言って忘れる事なんて出来ない。


だって、まだ隼人の口から理由聞いてないもん。あたしに“ごめん”って言った事もあたしを運んだ理由も全て、何も聞いてないもん。


じゃなきゃ、納得なんていかないよ。