その手に触れたくて


言われた事がどー言う事なのか深く考えてしまった。

ただ、辿りついたのは…


お兄ちゃんに言え。って事。


「つか、言える訳ないじゃん…」


思わず漏れた言葉と同時にため息が零れる。

もう、お兄ちゃんに言うのも面倒。って言うか頼りたくなんてない。ましてや隼人の事だ。


お兄ちゃんがあたし達の事をどこまで知ってるのかなんて知らないけど、もう揉め事なんて起こしたくない。


剛くんと別れた後も、心ん中はスッキリなんて何もしなかった。

苦しくて苦しくて何だか分かんない胸騒ぎまでもがしてた。


今、何処で何してんのかも分かんない隼人の事で頭の中はいっぱいだった。


ただ知りたい事が多くて、ただ謎めいた事が多くて、あたしの頭ん中は正直ついていけなくなってた。

頭の中は止まってても時間は進んでいつもの朝が来る。


「美月っ、」


ボンヤリとしていたあたしの耳に張り叫ぶ夏美の声が耳に届き思わずビクンと肩が上がる。

上履きに履き替えたあたしは後ろを振り向くと、何だか冴えない表情で夏美はあたしに駆け寄った。

その横には相沢さん。



「あー…おはよ」

「おはよ。それよかちょっと来て」


咄嗟にあたしの腕を掴んだ夏美は人気の少ない所へ足を進めて行く。

何が何だか分かんない事にあたしは茫然としたまま二人を見つめた。


「ど、どうしたの?」


口を開くあたしに夏美の顔がキッと鋭くなる。