「なぁ?アンタさ、」
不意に聞こえた声に視線を向けると、一度足を進めていた剛くんがもう一度あたしの場所へと足を進めてくる。
何気なく見つめてて首を傾げるあたしに、
「安藤響さんの妹だろ?」
剛くんの口から漏れた言葉にドクンと心臓が波打った。
お兄ちゃんの話題になると何故かいい事は起きない。噂って早い…もうあたしとお兄ちゃんが兄妹って事が剛くんにも知れ渡ってるんだ。と思えば何だか嫌で仕方がなかった。
「そう…だけど…」
ぎこちなく呟くあたしに剛くんは深く息を吐き捨てる。
「一つだけ方法があるかも知んねぇ」
「…方法?」
「あぁ。隼人を出す方法」
「それって、どんな?」
「アンタのお兄さん」
「お兄ちゃん?」
「あぁ。多分、あの人なら隼人を出せるよ?」
平然な口調で言った剛くんはポケットに両手を突っ込んだままあたしを身構える。そんな剛くんの目から視線を離せなくなった。
「どー言う事?」
「俺よりお兄さんの方が権力があるって事」
“じゃあ、ね”
そう付け加えて足を進めて行く剛くんの背中をあたしは消えなくなるまでずっと見てた。



