「美月ちゃん…」
悲しそうに見つめるその相沢さんの瞳は、あまりにも切なかった。
隼人が何を考えて、何を思ってそんな事をしてるのか分かんない。隼人の全てが分かんない。例え、隼人に新しい誰かが居たとしてもあたしの気持ちは変わんない。
忘れてた事、忘れようとしていた事がまたいっきに膨らむ。
隼人に対する気持ちが込み上げて来てどうすればいいのかも分かんない。
もう、何か月も聞いていない隼人の声を忘れそうで怖かった。
触れる温もりだって全て忘れていきそうで怖かった。
「…隼人に会いたい…」
想えば想う程、会いたくなる。
会って声が聞きたい。
こんなに想う自分が怖くなった。この前まで必死で忘れようとしてて…忘れかけていたのに、またこんなにも気持ちが膨らんで行く自分が怖くなった。
会いたいと思えば会いたくなる。
思えば思う程、気持ちが高ぶってくる。
相沢さんと別れた後、あたしの頭の中で混乱するように駆け巡る。
“絶対ダメ!!”そう言った相沢さんの言葉が駆け巡る。
隼人の気持ちが知りたい。どうしてそんな所に居るのか、どうして隼人はそんなふうになっちゃったのか、知りたくて知りたくてたまらなくなった。
その次の日、やっぱり学校には隼人の姿なんてなかった。久し振りに覗き込む隼人の教室に隼人は居なかった。
学校帰り隼人が行きそうな所を全て立ち寄ってみたけど、姿さえ見えなかった。もう寒くなってく季節、夜景が見える丘にも何度か行ったけど会う事も全くなかった。
だけど、それから数日。偶然って偶然を呼ぶんだろうか。目の前に見えるのは数人の男。その中でタバコを吸っている剛くんを、ふと…見かけた。



