言葉なんてもうこれ以上何もでなかった。
口を開こうと思ったけど、口があまりにも重くて開かなかった。
言葉を考えて考えてしたけど、頭ん中がゴチャゴチャになって整理が付けられなく真っ白になってた。
今までの経緯を辿っても辿っても、何でこーなったのかなんて全然分かんなかった。でも確かに隼人を苦しめた部分はいっぱいいっぱいあった。
隼人が入院したのだってそーだし。それを言われるともうあたしから言う言葉なんて何もないような気がした。
「…送る」
暫くしてそう言った隼人に一度ギュっと目を閉じてすぐに開けた。
「優しくなんかしないでよ!!」
「……」
「別れよって言ってるくせに優しくなんかしないでよ!!」
「じゃあ、帰るわ」
唇を噛みしめるあたしの前を通り過ぎて行く隼人の姿にまた涙が伝った。
認めたくなかった。別れる事にまだ認めたくなんてなかった。でも、隼人にその気がないのなら何故か認めなくちゃいけないような気がした。
好きじゃないのにあたしと寝たと言った隼人。正直、最低だと思った。他の人を抱いた後にあたしを抱かれてると思ったら最低で、最低で、心が張り裂けそうなくらい嫌だった。
でも、何故か心ん中は正直で隼人がまだ好きって気持ちはある。好きで好きで仕方がないくらい好きって感情は残ってる。
悔しかった。悔しかった。自意識過剰だったかも知んない。隼人が別れるなんて言葉を絶対に言わないって思ってた。
だから、すごく悔しかった。そう思ってた自分が悔しかった。
隼人の姿がとっくに消え去ってから、どれくらい佇んでいたのかも分かんなかった。辺りは真っ暗で、公園にある小さな電灯が微かに光を出しているだけだった。
もう、このまま死んでしまいたいって思ったのも初めてだった。初めての事ばかりで何をどーしたいのかも分かんなかった。
家に着いたのさえも、何処の道を通って帰って来たのかなんて全然分かんなかった。もう、何もやりたくない。誰とも話したくない。そんなあたしは帰ってすぐ布団に潜り込んだ。



