その手に触れたくて


「美月ちゃんって面白いね」

「マッチって…」


颯ちゃんとあっちゃんが、あたしを見てうっすら笑う。


いや…別に面白くはないと思うけど。

差し出しているマッチを、あっちゃはうっすら笑いながら受け取る。


「サンキュ…」


そう言って、仕舞いかけたタバコにマッチで火を点け、隼人は原付に跨りあっちゃんから貰ったタバコに同じく火を点ける。


「俺、マッチなんか初めて使った」


隼人は鼻でフッと笑い、あたしにマッチを差し出す。


「え、初めてなの?」

「マッチなんか何処で使うんだよ…、ライターがあるし」

「あぁ…そっか」


差し出されたマッチを受け取りながら曖昧に頷くと隼人は馬鹿っぽくフッと笑う。


だよね…
今どきマッチって…


タバコを吸わないあたしはライターすら持っていないからいつもマッチだ。

っていってもお墓用なんだけど…


暫く経った後、坂のほうから賑やかな声が聞こえ、あたし達は一斉に目線をそっちに向けた。