その手に触れたくて


1週間も続いてあたしがジッとしてる訳じゃなかった。隼人の家にも行った。

でも隼人のお母さんが帰って来てないってその言葉を聞いた途端、頭に激痛が走った。

何処で何してんのかも分かんない。携帯だって繋がんない。でも探す当てなんて何処にもなかった。

直司に聞いても、知らねぇ。の、一点張りで何も手がかりすらも見つけられなかった。


そして、それからまた数日経ってからだった。


学校から帰ってから何もしないままダラダラとベッドに身を預けているとテーブルに置いていた携帯が音を響かせた。

何気に画面を見たあたしの目が一瞬にして見開く。


「…隼人、」


慌てて通話ボタンを押してあたしは耳に押しあてる。


「隼人っ!?」

「…美月?」

「何?どーしたの?何してんの!?電話ずっとしてたんだよ!?」


怒りなんてとっくに通り過ぎてた。怒りを超えて悲しみに変わってた。思わず張り上げてしまった声に息を飲む。


「あのさ、今から出て来れる?」

「今?」

「あぁ。美月の家の近くの公園」

「公園?」

「話したい事あんだけど」

「え、何?今じゃ言えないの?」

「会って話したい」


そう言った隼人と電話を切った後、あたしは急いで公園まで走った。着いた頃はもう日がとっくに落ちていて今から夜を迎える。

走った所為で息が少し荒れ、その息を落ち着かせるようにあたしは大きく深呼吸をした。


公園の中に入ってすぐに目についたのがベンチに座って俯いている隼人の姿。久し振りに見た隼人はいつもよりもなんとなく…疲れ果てて見えた。


「…隼人?」


隼人に近づきあたしは、そう声を掛ける。