その手に触れたくて


また週の初めの月曜日が訪れた。


「隼人、まだ家で寝てんの?」


1時間目の休み時間、あたしの教室に来た夏美は不貞腐れ気味にそう言葉を吐き出す。


「え?来てないの?」

「あれ?美月知らないの?」

「いや、朝は今起きたから先行っててって言われただけだから」

「じゃあ起きてんじゃん」

「うん…」

「全く何してんだよー」


そう不機嫌そうに足を進めて行った場所は直司の机。朝から顔を伏せたままで一向に起きないその直司の頭を夏美はポンポンと軽く叩いた。


「…うーん…?」


いかにも眠そうな声で直司は顔を顰めたまま上げる。


「ねぇ、隼人は?」

「さぁ…」

「さぁ…って」

「だって知んねーし」

「ふーん…」


声を漏らす夏美は一息吐きあたしを見つめて首を傾げる。その後、夏美と直司が何かを話している時にあたしは隼人に電話をした。

だけど、一度聞いたことのあるアナウンス。

…電話が繋がんない。って言うか電源が切れている。頭が真っ白になった。何でか分かんないその出来ごとに理解が出来なかった。

何度掛けても同じだった。そして、その1日が終わりを告げようとする時間まで繋がる事はなかった。


でも、そんな事1日じゃなかった。1週間も続き隼人は学校にも現われなかった。そして、これから起こる事にあたしは予想すら何もしてなかった。