その手に触れたくて


「…隼人?」


あまりの激しさにあたしは隼人の身体を引き離す。


「うん?」

「どーしたの?」

「何が?」

「何か変?」

「何で?」

「何でって…。いつもと違うから」

「そんな事ねーよ」


真上に居る隼人はそう言って、もう一度あたしの唇に重ね合わす。

時間なんて何も気にしてなかった。どれだけ隼人のキスに溺れてたなんて分かんなかった。


「…ごめん」


唇が離れ不意に聞こえたその声に、あたしは閉じていた目をゆっくりと開ける。


「ううん」

「もう、帰んねぇとな」


スッと真上から隼人の顔が消え去ると同時にあたしは素早く隼人の腕を掴む。

できれば、帰りたくない。まだ隼人と居たい。できればこのままずっと一緒に居たい。


「隼人?」

「どした?」

「まだ居たいの」

「だけど、」

「大丈夫。ママにちゃんと言うから。ね?お願い」


身体を起すあたしは考え込む隼人を見ながら掴んでいた隼人の腕をさっきよりも強く握りしめた。