でも内心では凄い焦ってた。焦ってたと言うよりも、あたしが知らない所で何が起ってんのかが異様に恐ろしく感じた。
隼人は至って普通でいつもと変わらない態度。
だから余計に何もあたしは感じなかったんだと思う。
でも、だけど剛くんに“また今度”って言った事は、もちろん今度会うって言う事。多分、きっとあたしが体調を崩してる時に、隼人は絶対に剛くんに会ってる。
会ってる…
会ってると思ったから何がどうなってんのか気になった。
やっぱこれってあたしなの?あたしの所為になんの?ううん…あたしじゃなくてお兄ちゃん?お兄ちゃんが辞めろって言ったから?
いや、違う。隼人がその通りにお兄ちゃんの言葉を間に受けたから?
あー…分かんない。分かんなさ過ぎて頭の中が一杯だ。
「どうしょう…。あたし、何もしらない…」
出てくる言葉はこれがやっとだった。
「ねぇ、揉めてるって例えばどんなふうに?」
スッと入ってきたのは夏美の落ちついた声。その声に隣に居る夏美をチラッと見ると、夏美はジッと相沢さんに視線を送ってた。
「いや、どうだろ…。そこまで分かんないけど…」
「まぁ、でも大丈夫じゃない?隼人も全然普通だしさ。ね、美月?」
「あ、う、うん。…だといいけど」
ホントにそうだといいけど。だけど相沢さんが言った事にどうもしっくりとこなかった。だからあたしの目は相沢さんに向かってて、
「それらしき事をさり気なく聞いてみるよ。美月ちゃん聞きにくいでしょ?」
困った表情を読み取ったのか、相沢さんはそう口を開く。



