「何かあったの?」
「そー言えば、剛くんに会った」
夏美の問い掛けにあたしは思い出すかのように言葉を吐き出す。
「え!?いつ?」
案の定、その言葉に反応する相沢さんはのめり込む様に身体を前に突き出す。
「あたしが体調崩して送ってもらって帰る途中」
「なんか言ってた?」
「隼人に…辞めたんだって?とか…あとは揉めてるとか」
徐々に思い浮かび上がってくる内容。と、すると、
「そ、それだよ、それ!!」
ビクンと身体が飛び上がるような声を相沢さんは吐き出す。
思わずドキンと高鳴ってしまった身体。夏美も同じだったらしく食べようとしていたケーキを口元で止める。
「え…何?」
ビックリしてしまった事に、あたしは戸惑う。
「だからさっき言ったじゃん。揉めてるって事」
「それがどーかした?」
「多分、裏で大変な事になってんじゃない?」
「え、そんな…」
「その揉めてるって言ったのは剛でしょ?」
「う、うん」
「じゃあ間違いなく裏では大変な事になってるかもよ?あの剛が言ってんなら間違いないよ」
だから言葉なんて出なかった。



