「まぁ、剛の話になっちゃうけど、抜けるとか簡単なことじゃないって言ってたよ?アイツも結構、趣味が喧嘩みたいなもんだったからさ」

「……」

「辞めてって言った時、そんな簡単なもんじゃねぇって言ってた様な記憶がある。その人が上のほうであればあるほど簡単に抜ける事は出来ねぇって」

「……」

「多分、隼人は上のほうだと思うよ」


そこまで聞いてなんかあたしの頭に何かが引っかかった。

あれ?何だろ。だけどさっき聞いた内容の所為で頭がキリキリとしだし思い出そうとする事がなかなか思い出せない。


駄目だ…

引っかかる事はいっぱいあるのに肝心な事がはっきりと分かんなくなる。


「美月、何かほかに言われた事ないの?ほら、ここ最近の事は?」


分かってる。分かってんだけど、思い出せないんだよ。


「隼人に変わった事なかった?」


相沢さんの落ち着いた声が耳に入り込む。

最近?変わった事?何だろ…


もちろん昨日と一昨日は会ってないし、会ったと言えばあたしが倒れ込んだ日。その前は隼人が熱だしてたから…


あの日、あたしが体調崩して隼人に送ってもらって…


「あれ?」


あたしの口からポツンと小さく漏れた声。

そして思わず首を傾げる。