「え、何?どうしたの?」


その表情に気づいた夏美は少し戸惑った感じで声を投げかける。

もちろんあたしも相沢さんのそのしっくりこない表情から目が離せなくなってた。


「それってさ…」


そう相沢さんがポツンと呟いたのは暫くの沈黙が経ってからだった。


「大丈夫なの?」


続けられた言葉にあたしも夏美も思わず相沢さんから視線が止まる。相沢さんはフォークを持ったまま視線はケーキに向けていて、そこから視線を動かそうとはしなかった。


「だ、大丈夫って?」


動かそうとはしないその相沢さんの瞳を見ながらあたしは戸惑い気味に小さく問う。


「ほ、ホントだよ。大丈夫って何が?」


案の定、夏美もあたしと同じ気持ちなのか、夏美も少し不安げな声を出す。


「昔話に戻っちゃうけど、抜けるとか辞めるとか…そー言うの簡単に出来ることじゃないらしいから」

「え?」


思わずあたしの顔が引きつってしまった。

自分にでも分かるくらい頬の筋肉が少し引きつった。だからそれ以上言葉を吐き出す事なんて出来なかった。

だからだろうか、


「それってどー言う事?」


あたしの変わりにスッと耳に入り込む様に夏美の声が聞こえた。