その手に触れたくて


「でもさ、隼人も美月にゾッコンだから一緒に来てくれるかもよ」


隣に居る夏美は笑みを漏らしながらケーキを頬張る。


「けど1年の時と比べたら隼人が別人に思えて不思議」


そう言った相沢さんは思いだすかのようにクスクス笑みを漏らした。

あぁ…そっか。相沢さんは1年の時、隼人と同じクラスだったんだよね。


その頃の隼人ってどんな感じだったんだろう。

まぁ聞いた話では喧嘩に没頭してるって事。…あれ?喧嘩…


そうだ。そうだった。隼人…抜けたって言ってたよな…そー言えば何も考えてなかったけどその後ってどーなったんだろう。

あたしが病んでる間に解決したんだろうか。揉めてるって言ってたから…


「…月ちゃん。美月ちゃん…?」

「あ、え?」


思わずボーっとしてたあたしの顔の前で相沢さんの手がブンブンと振られる。


「どーしたの?」

「何、美月。隼人の事でも考えて浮かれてんの?こら、惚気てんじゃないよ!」


相沢さんの問い掛けの後、夏美は意地悪く笑う。そんな夏美に続いて相沢さんも笑ってたけど、


「美月ちゃん…何かあった?」


さっきまでの笑みを一瞬にして消した相沢さんはあたしの顔を覗き込んだ。

その視線に合わす様に下げていた視線を上げると、相沢さんはゆっくり首を傾げる。


「何よ美月。何かあんの?」

「あ、いや…」


夏美の声にあたしは首を振る。