その手に触れたくて


メニューを見て決まったのが、3人とも同じ。

温かいホットレモンティーに、この店の一番の看板メニューのフワフワホイップのショートケーキ。


「相沢さんてよくこー言うお店知ってるよね」


注文をした後、あたしがふと目の前に居る相沢さんに問い掛ける。


「うん、うん、それ言えてる」


隣に居る夏美のあたしと同じ考えだったらしく何度か頷いた。


「あー…うん。あたしこー言う食べ歩きみたいなの好きなの。新しいお店が雑誌で取り上げられたら直ぐに行きたがるし」


そう言って相沢さんは笑った。


「こー言う所、宮本くんと行くの?」


何気なくサラっと言った夏美にあたしは視線を向ける。あまり宮本くんの話は聞かないから何となく視線を向けてしまった。


「あー…たまになら行くよ。でも甘いの好きじゃないからたまにじゃないと嫌らしい」

「あー…だよね。男の人って嫌うよね」

「うん。そうなの…。あ、美月ちゃんも隼人と行けばいいじゃん…って、隼人こー言うお店には来ないよね…」


ハキハキとしゃべってた相沢さんはあたしを見てすぐ言葉を控えめにする。


「うーん…多分」


首を傾げながら曖昧な呟きをしてると目の前に温かいレモンティーとショートケーキが置かれる。

見るからにして美味しそうなそのケーキにあたし達の顔から笑みが漏れた。


「「いただきまーす」」


3人の声が綺麗に重なると同時にあたしはケーキをフォークで突く。