その手に触れたくて


夏美から後ろに居る隼人へと視線を向けると、

「乗れよ」

そう言って隼人は後ろに指差す。


「あ、うん…」


コクンと頷きながら自転車から下り原付に跨った時、前から直司が走って来た。


「あー、だるっ」


そう呟きながらあたし達の所まで来て、「はっ?」と声を漏らす。

直司は自転車と原付を交互に見ながら口を開く。


「俺、どこ?」

「何処ってここに決まってんじゃん」


夏美はクスクス笑いながらサドルから下りポンポン叩く。


「は?マジで言ってんの?」

「マジ」


夏美はあたしに向かってピースをし、微笑んで自転車の後ろに跨る。