その手に触れたくて


「え、何?」


互いを見つめる夏美は首を傾げる。


「ううん。何でも…」


そう言ったあたしは夏美を見て微笑む。


「何?怪しいなー…」

「で、どうしたの?」

「あぁ。そうだ、そうだ。あのね、今日の帰り相沢さんと3人でカフェ行かない?」

「カフェ?」

「そうそう。なんかね、駅前の裏手に新しく出来たみたいなんだけど、そこのケーキが美味しくらしくってカナリの有名なんだって。雑誌にも取り上げられるくらいの有名らしいよ」

「へー…そんな店出来たんだ」

「うん。美月も行くでしょ?」

「あー…」


そう小さく呟いたあたしは夏美から視線を隼人に送る。そんなあたしの視線に気づいた隼人はあたしを見下ろし、


「行ってくれば」


そう言って隼人は口角を上げる。


「じゃあ、決定!!」


目の前にピースサインを突き出してくる夏美にあたしはコクンと頷いた。