その手に触れたくて


「さぁ…分かんね」


首を傾げた隼人はあたしを見下ろしそう呟いた。


「分かんないの?」

「だって覚えてねーもん」


“行くぞ”

付け加えられたその言葉にあたしは立ち上がり、隼人のくれたネックレスの箱を袋に入れて、歩く隼人の後を追う。


「ねぇ、隼人?」

「うん?」


隼人の背中に問い掛けるあたしに隼人は足を進ませながら振り返る。


「単位大丈夫?」


そしてふと気になった事を問い掛けた。


「あぁ。なんとか大丈夫っぽい」

「ホント?」

「昨日、担任に聞いたら大丈夫だってさ。まぁ、けど補習はしなくちゃなんねーけど」

「そっか…」


隼人は何も思ってない様に言ったけど実際、あたしが病んでしまった。

あの入院したのが大きく圧し掛かってるのかもしんない…


「…美月?」

「え、あっ…何?」


隼人の声であたしは慌てて下げていた視線を上げる。


「どした?」

「ううん。何でも」


そう言ってニコっと微笑んだ時だった。