その手に触れたくて


図書室の中に入ると、数人の人達がちらほら居て本を読みながら休憩してた。

隼人が足を進める先は入り口から一番奥の窓際の席。


そこに腰を下ろした隼人は持っていた自分のビニール袋をテーブルの上に置いた。


そしてあたしも釣られる様に腰を下ろしビニール袋から大好きなメロンパンを取りだす。

さっそく嬉しそうに頬張るあたしに目の前に居る隼人がクスクス笑い出した。


「え?何?」


思わず視線を隼人に向けると、隼人は紙パックのカフェオレを口に含みテーブルに置く。


「マジで好きだよな」


呆れるって感じの様な呟きに、あたしはコクンと頷く。


「うん。大好き!多分、1日3食いけちゃうよ」

「マジかよ」

「うん、マジ」


微笑みながら嬉しそうに食べるあたしに隼人は笑みを漏らす。

暫く他愛ない会話をして、ふと…思い出した。


隼人に…どーしても言わなくちゃいけない大事な事を思い出した。

凛さんと話してたあの会話の事を思い出した。


「あの、隼人さ…」


一つのメロンパンを食べ終わった頃、あたしはそう小さく呟き一度カフェオレを口に含む。


「うん?何?」


あたしの問い掛けに隼人は視線をあたしに向け、その視線からあたしは少しずつ逸らした。