その手に触れたくて


「はい、美月これ」


廊下に出てすぐに渡されたのは隼人の手にあった2つの内の1つのビニール袋。

差し出されたそれを受け取って中身を覗き込むと、思わずあたしは苦笑いをする。


「ありがと。って言うか、一つでいいよ」


中に入っていたのは3つのメロンパン。そしてカフェオレ。


「帰って食う分も」


そう言って隼人は口角を上げる。


「ありがと」

「おぅ」

「ねぇ、何処行くの?」


隼人の教室を通り過ぎた時、あたしは隣に居る隼人を見上げて問い掛ける。


「んー…図書室」

「図書室?」

「あぁ。さすがに外では寒過ぎて食えねぇからな」


苦笑いする隼人に、「だね」と言って隼人の隣に並んで歩く。


「他、場所がねぇもんな。食堂は混雑しすぎて嫌だしよ、保健室はババアがいっからうっせぇし。と、なると温ったけぇ場所となると図書室しかねぇ」

「んー…そうだよねぇ…」


隼人が悩んで出した場所にあたしも頷く。

ここ最近はずっと隼人と一緒に食べてなかったから何か嬉しい。


隼人が来てなかったり、夏美と一緒に居たりしたからホント考えると凄い久し振りだ。

だから余計に嬉しさが溢れだす。