その手に触れたくて


結局その次の日も休んでしまった。

そしてその次の日。あたしは玄関の前で隼人を待った。


「…美月」


暫くして家の前で待つあたしの耳に隼人の声が届く。2日…いや、2日半に見る隼人が何だか新鮮に見えてしまった。


「おはよ、隼人」

「おぅ。マジもう大丈夫か?」

「うん。全然平気。でもまだ薬は飲んでるけど」

「あぁ、そのほうがいいな」


そう言った隼人は親指を立てて後ろに指差す。その合図が座れって言ってる事が分かったあたしは、コクンと頷き隼人の後ろに座った。

寒さなんて忘れそうだ。

隼人の背中に腕を回すと、心地よく温もりを感じる。


「それよかさ、隼人」

「うん?」

「風邪うつんなかったね。さすが隼人!」

「なんだそれ」


クスクス笑う隼人。


「でも良かった。学校行ってた?」

「行ってた。でも美月いねーからつまんなかった。っつーか、アイツ。夏美がうっせーんだよ」

「え?夏美?」

「そう。しゃべる相手が居ねえっつーから俺が餌食(えじき)。直司は寒いから行かねぇとか言うしよ、マジまいった」

「へー、そうなんだ」


そんな人ごとの様にあたしは笑う。