その手に触れたくて


何だろ。

その疑問は翌朝まで続いてた。隼人が行った通り完全には調子が戻っていなくて、身体がダルイ。

身体は意地悪でそう元気にまでしてくれない。


その日はほぼ寝てた。寝て、寝て、寝過ぎじゃないかってくらい寝まくった。だから夕方頃には良くなりつつ、昨日よりも回復してた。

これもきっと隼人のお陰。早くに病院に行って薬を飲んでいたからだと思う。もし、行ってなかったら今頃、死にかけてたかもしんない。


今から暗くなろうとする空。あたしは着ていた部屋着の上からコートを羽織り、家を出た。向かうは隣…凛さんちだ。


「あれ?美月ちゃん?」


チャイムを押してすぐに出て来たのは凛さんだった。


「ちょっと話したい事があって」


ぎこちなく言葉を吐き出すあたしに凛さんは少し驚いた表情であたしを見た。


「いいけど。…ってか大丈夫?体調崩したんだって?お母さん言ってたよ」

「あ、はい。だからこんな恰好ですみません」

「全然いいけど、よくなった?」

「はい。寝過ぎて身体が痛いですけど」


苦笑い気味でそう言うと、凛さんも少し笑みを漏らした。


「ってか上がって上がって。また身体冷やしたらぶり返しちゃう」

「すみません…」


お言葉に甘えたあたしは凛さんちに上がり、部屋に入る。


「で、どうしたの?美月ちゃん…」


床に腰を下ろすと同時に凛さんはそう言ってあたしに目を向ける。