その手に触れたくて


「別に行くとこねーし、美月しんどいのに俺だけ行くのも気が引ける」

「別にいいのに」

「嘘つけ。内心はそー思ってねーくせに」

「…ッ」


見事に見破られてしまったあたしは案の定、口から吐き出す言葉なんて何もなかった。

だからそんなあたしに隼人は、


「図星」


そう言って笑った。


「もー、隼人!」

「何?」

「からかうの辞めて」

「別にからかってねーし」

「もぉ…」


膨れっ面になったあたしの声で気づいたのか、隼人はまた笑う。くだらない、そんな馬鹿げた会話を少しした後、あたしは隼人との電話を切り伸びをしながら身体を起す。

ベッドに座り込んで深く息を吐く。あまりにも寝過ぎた所為か、身体が重く所々痛かった。


ベッドに座って数分。

何かを飲みたいと思って立ち上がったあたしは、真っ暗な暗闇の中、部屋を出る。階段を降りた先に見えるのはリビングから漏れてくる明かり。


その明かりに導かれる様に足を進めて、あたしはリビングのドアを開けた。