その手に触れたくて


「大丈夫か?って、大丈夫じゃねーよな。さっきよりも顔色悪い」

「だ、大丈夫」

「無理すんなよ」

「う、うん」

「薬飲んで寝とけよ」

「うん」

「んで、明日は休め」

「うん」

「一人で大丈夫か?俺、行くけど」

「えっ?何処に?」


思わず反応してしまった。
隼人が“行くけど”って言った言葉に思わず反応してしまった。

もちろん隼人があたしと居てくれるなんて思ってなかったけど、そう思わず声に出していた。


「何処って学校。単位、本気でとっとかねーとマジ留年してまう。っつーか、美月と同じ学年じゃなくなる。そんなの嫌だしよ」

「あ、うん。だよね」


うん。それは嫌だ。あたしが3年で隼人が2年。そんなの嫌過ぎる。


「もし、なんかあったらすぐに言えよ。すぐ飛んできてやっから」


そう言って隼人は口角を上げる。


「うん…。隼人、ごめんね」

「全然」

「ありがと」

「あぁ」


手を振るあたしに隼人は軽く手を上げ自転車を漕ぎだす。その後ろ姿がなくなるまで、あたしは見つめてた。