「どした?」
後ろを振り返り隼人はあたしを見つめる。
「あ、いや…」
「大丈夫か?」
「うん」
頷いたあたしに隼人はペダルを踏みしめる。
帰るまであたしは隼人と口を開く事はなかった。だけど、あたしの頭の中はさっき出会った剛くんの会話だけ。
“抜けたってマジ?”
“すげー揉めてっけど”
その言葉が自棄にあたしの頭の中をグルグルと回った。身体が弱ってる挙句、その会話で余計に疲労がきそうだ。
深く意味を考えて考えてして出て来た結果は、やっぱりあたしの所為に繋がってしまう。
あたしが…あたしが隼人と居たいだけにあって、隼人は仲間から離れて行った。
ぶっちゃけ、本心では喧嘩から抜けてほしいって気持ちはあった。だけど、実際そうなると何だか申し訳ないと言うかあたしの所為でって凄く思ってしまう。
抜けるって、どー言う事なんだろう…
あたしには分かんない。
「…美月?」
「……」
「おーい、美月?」
「あ、えっ?」
不意に聞こえた隼人の声に慌てて反応する。
「着いた」
「あっ、」
隼人の指差す方向は、あたしの家。



