その手に触れたくて


ソファーに座ったままメロンパンを見つめていると横からクスクスと笑い声が聞こえ、あたしはその方向に目を向ける。

隣をみると隼人はタバコを咥えたまま笑ってて、あたしは首を傾げる。


「ん?」

「そこまでメロンパンに喜ぶ奴、初めて見た」

「だって美月は1日1個は食べてるもんね」


隼人の呟きに夏美が答えると「まじかよ…」と笑い交じりで返す。


「おーい」


メロンパンに惹かれているとドア付近から声が聞こえ、あたし達は目を向ける。

そこには颯ちゃんとあっちゃんが立っていて、あっちゃんがあたし達の方を見て外に指差す。


「行くぞ」


そう言って2人は部屋から出て、鉄階段を下りていく。


「あー、だるっ…」


直司は伸びをしながら不機嫌な声を出す。


「ナオ、宜しくね」

「うぜぇ…」

「美月、行こ」


夏美はうっすら笑い部屋を出ていく夏美の後をあたしは追う。

階段を降りると、颯ちゃんが乗る原付の後ろにあっちゃんが跨っていた。