その手に触れたくて


「ジャーンッ!」


そう言って、あたしの目の前に見た事のあるパンが目に飛び込む。


「あっ!メロンパン!!」


あまりの嬉しさに思わず声が飛びはね、夏美の方を振り向くと夏美は立ち上がり、あたしの手にメロンパンを握らせた。


「それ、美月にあげる」

「どうしたのこれ?」

「さっき、あっちゃんが飲み物買いに行くっつーから、ついでに買って来てもらっちゃった」


夏美はうっすら笑う。

そんな夏美から目を逸らしパンに目を向けると、思わずあたしの目が見開いた。


「あっ、これ購買のパンと同じじゃん」

「そうなんだよねぇ…。だから買ってきたもらった。明日の朝にでも食べなよ」

「うん」