その手に触れたくて


冬真っ最中の教室は自棄に寒い。

悴む手が痛いのと身体が自棄に重い。


どうしたんだろ、あたし。

いまいち冴えない体調に、あたしは授業が始まる前から机に顔を伏せた。


意識はある。授業中、先生が話してる声も聞こえる。だけど、だんだんしんどくなるあまり、あたしは頭を上げる事すら出来なかった。

相当に身体が熱くダルイ。


息がきれそう…


「…ちゃん、美月ちゃん」


ゆらゆらと揺れ動く身体とともにあたしは閉じていた目をゆっくり開ける。

もう休み時間になったのか、見えたその先には直司の顔がぼんやりと見える。


あたしの身体を揺すっていた直司はしゃがみ込んであたしの視線と合わせた。


「どした?全然動かねーけど」

「…うん」

「しんどいのか?」

「…うん」


ただ“うん”しか言わないあたしに直司は、


「ちょっと待ってろ」


そう言ってあたしの前から姿を消す。


「おい、美月?」


直司が姿を消してからほんのすぐだった。

頭をクチャッと撫でられる隼人の声とともにあたしはまた閉じていた目を開ける。