その手に触れたくて


「そっちのがいい」

「え?ペットボトル?」

「うん」

「つか、水とお茶しかねーよ?」

「うん。水でいい」

「マジで?」

「うん」


疑問そうに問い掛ける隼人にあたしはコクンと頷く。

隼人が小銭入れにお金を入れた後、ガコンとペットボトルが落下し、しゃがむ隼人はペットボトルの水を手にし、それをあたしに差し出す。


「はい」

「ありがとう。お金…」

「いらねぇよ」

「ごめん」


隼人からペットボトルを受け取ると、あたしはすぐに水を口に含む。


「大丈夫か?」

「うん」


頷いたあたしにを見てすぐに隼人は足を進めその後をあたしは追った。

教室の前まで来ると隼人と別れてあたしはすぐに自分の席へと向かう。

座る瞬間、何気なく教室を見渡した瞬間ナオと目が合った。珍しく座っているナオは携帯を片手に口角を上げる。


「…はよ」

「おはよ」


そう言ったナオにあたしは微笑み自分の席に腰を下ろす。

腰を下ろした瞬間、何だか分からない疲れがドバッと出た。